開進スクールの進路指導においては、大学院への進学も考慮しての指導をしています。文部科学省の「令和5年度学校基本調査」によると、学部ごとの大学院進学率は、理学部44.0%、工学部38.4%、農学部26.3%と非常に高いことが分かります。

また現在、大学院入試は、以前のように教授のコネで引っ張るということが難しくなっていることから他大学への進学も増えています。(院試は、研究計画書などペーパーテスト以外が大切になります。)

ただし、学校基本調査で自大学出身者の割合をみると、人文科学約55%、社会科学約29%、理学・農学約82%、工学部約88%。つまり、それでも学部と大学院が一体化していることが分かります。これは、理・工・農学部は、学部の研究室の延長に大学院での研究があるからだと言えます。

理系の大学院進学率は、「就職」です。大学院を卒業しないと研究職に就くことは、ほぼありません。
理系を出ても学部卒だと営業などに回されることが多いものです。

一方、文系は、そもそも営業職・事務職ですので、大学院を出ても、「給与が高く」なる・・などの理由で敬遠されがちです。

とにかく、世の中の要請から理系の大学院進学率は高くなっていってます。

一方で博士課程になると卒業が少なくとも27歳となることや、そこまでの研究レベルが使えるのが、大学や国の機関などに限られるため、多くの学生は、修士(2年)で終わることが多いのも実情です。(民間への就職)

就職において最後の出口が大学院になると考えれば、学部の4年間しっかりと勉強して大学院で良い大学に行くということも考えられます。学歴ロンダリングなどと揶揄されますが、現在は通常の受験です。(Youtuberは、おもしろおかしく言いますね。)例えば東大生が東大大学院を受けても普通に落ちることがあることからも分かります。

また大学院入試は、専門での勝負になります。(英語はあります。旧帝などでは英語での授業が普通になってきます。)特に理系にずば抜けた生徒は、例えば、国語とか社会とかに興味を示さないため学部では、それほどの大学に行けないということもあります。

例えば、東大が全科目9割必要なのに対し、地方国立だと全科目6割で十分合格します。しかし、6割に意味がなくなるのが大学院入試です。得意の科目(研究・専門分野)がズバ抜けて、初めて合格するわけです。例えば研究職になったとして、一応、全ての科目が6割出来るという学生と社会は赤点だけど、物理や数学は満点という生徒、どちらを採用するか?と考えればわかると思います。

教養と専門の違いと言っても良いかも知れません。

今、地方国立もこの矛盾に立ち向かうべく、様々な入試を作っています。また私立は以前からこのような特色型を行っており、実際に通常入試で合格した学生よりも特色型で合格した生徒の方がGPAが高いという結果も出ています。そもそも大学は研究機関なので、当たり前かも知れませんが。

そのため開進では学部(特に理系)はラップタイムであってゴールとはならないので、指導する際にかなり大学を精査します。

塾生の興味などを考慮して、例えば九州大を東京農工大に切り替えたり、広島大を九州工大に切り替えたりします。これは、合格率が高くなるというだけではありません。その後の大学院進学を見越しての指導です。

当然、それなりの大学院に行くには、学部で勉強しなければなりません。ただ大学に行くということは「勉強したい」から行くわけでしょうから当たり前ではありますが・・・

一方、18歳(学部入試)では伸び切らなかった生徒が、22歳(大学院入試)では大逆転することも多々あります。東大、京大、阪大などが多数出ていることからも、進路指導は間違っていなかったと考えています。

学部は基本、「教養」です。そのため東大なら全て最初は「教養学部」に属することになり、その後、進振りを経て専門が決まります。

そもそも大学はそのようなものです。学部だけが入試ではない、それどころか理系であれば、かなりの確率でその後も試験が続くと考えた方が良いわけです。しかも学部の入試は、ある意味、パズルですが、大学院の入試は専門・研究ですので自分で問いを作ることになります。既に答えのある問題ではありません。脳の使い方が変わります。

今、生徒を指導していて、この大学の選び方がかなり間違っている気がします。生徒の向き、不向きをきちんと判断すれば、かなり活躍出来る人材になることが出来る、そのような大学院へ行けると思いますが、偏差値だけで考えたり、40年前からアップデートされていない大学への「感想」くらいの理由で選ぶと失敗します。

しっかりと先を見据えた進路を考えてください。